股関節唇損傷・変形性股関節症

股関節唇損傷とは

股関節唇損傷とは股関節唇とは、股関節の臼蓋(骨盤側にあるお椀型の受け皿)の周囲にある、リング状の軟骨組織です。繊維性軟骨と結合組織とでできており、大腿骨側を包むように存在しています。
この大腿骨の頭の部分を股関節唇という組織が取り囲んでいるのですが、この部分に損傷ができるものが股関節唇損傷です。この部分に損傷を受けると、股関節の安定性や荷重分散といった機能に影響が及びます。

股関節唇損傷の原因

股関節唇損傷の原因には、スポーツが原因となるもの、先天的な股関節の小さな臼蓋の形成、交通事故や転倒などがあります。

股関節唇損傷の症状

股関節唇損傷の症状股関節唇損傷の症状としては、股関節の痛みや詰まり、引っ掛かり感、強張り、可動域の減少といったものがあります。痛みは鼠径部(脚の前側の付け根部分)に出るものが多いですが、転子部(脚の側面で大腿骨頭の下の部分)や臀部に出ることもあります。

股関節唇損傷と変形性股関節症の関係

股関節唇が損傷し、切れてしまうと、股関節を動かした時にひっかかりを感じたり、しゃがむ時に痛みを感じたりします。股関節唇としての機能が失われるため、関節の安定性が低下し、骨盤と大腿骨とが直接ぶつかって変形し、変形性股関節症を起こすこともあります。

変形性股関節症とは

変形性股関節症とは変形性股関節症とは、骨盤と大腿骨の間にある軟骨組織がすり減り、炎症を起こす病気です。
骨盤の臼蓋部分が大腿骨を覆っていない状態となっていることが多く見られます。
また、「一次性変形性股関節症」と「二次性変形性股関節症」に分類されます。日本国内の多くは、二次性変形性股関節症です。
一次性変形性股関節症とは、原因不明の関節症ですが、考えられる原因として加齢変化、スポーツ障害、体重増加など股関節への過負荷が挙げられます。
二次性変形性股関節症とは、原因がある関節症です。日本国内では発育性股関節形成不全(大腿骨の骨頭を覆う屋根の作りが不足している状態)が大部分を占めています。その他、大腿骨頭壊死症、感染症、小児期のペルテス病(大腿骨への血流障害)、大腿骨頭すべり症(大腿骨頭がズレる状態)、骨関連の内分泌疾患、外傷では股関節脱臼や骨折など、そして股関節インピンジメントが挙げられます。

変形性股関節症の原因

変形性股関節症の多くは、骨盤の臼蓋形成不全が原因です、これは臼蓋の形状が先天的に小さいために大腿骨の先端(骨頭)を覆いきれず、股関節に痛みを生じるものです。具体的には臼蓋の小ささが原因で、大腿骨側の軟骨に摩擦が生じて軟骨がすり減り、股関節の変形、炎症といった症状を引き起こします。

変形性股関節症の症状

変形性股関節症の症状変形性股関節症の症状としては、股関節周囲の痛み、股関節の可動域の制限、異常歩行(跛行)といったものが見られます。股関節の痛みは初期には歩行時のだるさなどの症状となっていますが、進行すると痛みは持続的なものとなります。

股関節唇損傷・変形性股関節症の
診断と検査

股関節唇損傷や変形性股関節症の診断・検査は、患者様から痛みの状況や歩行の状況などを問診にてヒアリングさせていただいた後、関節の状態の触診や画像検査を行います。
画像検査のうち主なものはレントゲン検査です。レントゲン検査によって骨の形の異常や軟骨の状態を確認します。レントゲン検査では不足する場合、CT検査やMRI検査を併用します。

股関節唇損傷・変形性股関節症の
治療法

股関節唇損傷や変形性股関節症の治療法としては、リハビリテーション、薬物治療、手術治療があります。
まずはリハビリテーションや薬物療法を行い、痛みが改善しない場合は手術治療を検討します。手術には関節鏡手術(股関節内に内視鏡を入れた手術)、骨切り術(骨の一部を切り取って骨盤と大腿骨のずれをなくす)、人口股関節置換術(股関節の骨を削り、人工物に置き換える)といったものがあります。

股関節唇損傷・変形性股関節症の
予防

股関節唇損傷

日常生活において股関節唇への負担を与えない歩き方や体の使い方を改善することで、痛みの軽減や予防に役立てます。

変形性股関節症

変形性股関節症日常生活において適度な運動とストレッチを行うことが必要です。さらに脚の筋肉を鍛えることが重要です。
これにより、股関節が安定し負担が軽減します。