神経根ブロック

神経根ブロックとは

神経根ブロックとはまずは、脊髄の構造を解説します。
脊髄とは、脳から背骨にかけて真っ直ぐ繋がっている神経の束のことであり、硬膜という膜に包まれています。硬膜の外側は硬膜外腔と呼ばれる空間となっていて、脊髄神経という脊髄から手足へと向かう神経組織が位置しています。
神経根ブロックとは、この脊髄神経の根本の部分(神経根)に局所麻酔薬を注射することで神経から脳へ痛みが伝わる回路を遮断する治療をいいます。
ブロックとは文字通り、この痛みが伝わる道筋を妨げる=ブロックするということです。

神経根ブロックの効果

神経根ブロックの効果神経根ブロックは、痛みの発生源である神経の根本に直接麻酔液を注入できることが特徴の1つです。
他のブロック注射でなかなか効果が実感できない方にも期待できるキレ味の良いブロック注射になります。治療は保険適応となるため、1割から3割で治療が受けられます。
しかし、レントゲン透視下や超音波設備を導入した施設でしか安全で確実な治療は行えません。

対象となる症状や疾患は?

症状

神経が圧迫されることにより手足や腰、腕が痛いといった症状に良く効きます。

疾患

対象となる疾患には、頚椎椎間板ヘルニア、頚椎症性脊髄症、腰椎椎間板ヘルニア、腰部脊柱管狭窄症であり、首周りの痛みや背部腰痛、お尻の痛みや坐骨神経痛など様々な症状が対象となります。
その他、帯状疱疹および帯状疱疹後神経痛にも効果が期待できます。

神経根ブロックの治療の流れ

1準備

医師による説明を行います。
事前にトイレは済ませてください。看護師が血圧測定した後にレントゲン室へ移動し、台の上にうつ伏せの姿勢で適度にリラックスしてお待ちください。

2神経根ブロック注射施術

注射する部位を消毒し、ブロック注射を行います。
万が一消毒剤にアレルギーがある方は必ず申し出てください。
ブロック注射自体は1~2分程度で終了します。
麻酔液が注入されている時にやや痛みを感じる場合があります。また、麻酔の影響で一時的に皮膚の感覚が鈍くなったり、脚がしびれたりすることがあります。

3安静

安全のためブロック注射後には必ず30分程度の安静時間を設けております。
決して一人で立ちあがろうとせずに、お近くのスタッフにお声がけください。
麻酔の影響で力が入りにくくなって、転倒する可能性があります。

4注射完了

最後に医師による診察を受けて終了です。
お気をつけてご帰宅ください。

神経根ブロックの注意事項や
副作用

注意事項

  • 当日は激しい運動、ご入浴はお控えください
  • 注射後3時間は運動や飲酒は控えてください。
  • ブロック注射した当日はシャワー浴をお願いします。

副作用や合併症

注射による治療のため合併症のリスクがございます。

一時的な足の脱力

神経に麻酔がかかることによる一時的な副作用です。歯医者の麻酔と同様に時間の経過とともに回復していきます。安全のため30分程度の安静時間を設けておりますが、なかなか回復しない場合はお知らせください。

感染症

注射針を刺すことが原因で細菌感染を引き起こすリスクがあります。極めて稀ではありますが、万が一注射後に発熱や体の痛みが強く出る場合にはご連絡ください。

局所麻酔薬による中毒反応

麻酔の量の調整には万全の状態で臨んでおりますが、極めて稀に以下のような中毒症状が出る場合があります。
顔や口のまわりのしびれ感、めまい、頭痛、耳鳴り、目がかすむ、目が眩む、手足の筋肉が痙攣する、意識を失う、このような症状が見られた場合には緊急対応として酸素吸入や点滴を行い経過観察します。麻酔が体内で分解されると症状は改善します。

神経根ブロックの費用の目安

ブロック注射は保険適応での治療が可能です。
そのため1~3割(1,500円~4,500円)負担となっておりますが、症状や検査内容によって多少変動いたします。
詳しくは当院のスタッフへお尋ねください。